無害化の考え方
非石綿化
アスベストをアスベスト以外の物質に変えます。
アスベストはマグネシウムMgとケイ素Siの化合物です。
クリソタイルMg3Si2O5(OH)4 →MgとSiの結合を切断します。
Mg3Si2O5(OH)4 + CaO → Ca2SiO4 + MgO
非繊維化
アスベストを繊維状物質ではなくします。
健康被害は繊維状物質が体内に刺さり発生するため、その繊維形状を変えます。
無毒化
無害化生成物が健康被害を引き起こさないことを確認します。
生体に対する安全性評価:気管内注入試験、急性毒性試験
再資源化
無害化生成物はセメント原料などへリサイクルを図ります。
無害化処理工程では大きく減容化はされません。
無害化の確認
X線回折による分析(XRD)
X線粉末回折分析法により、繊維状であるアスベスト(クリソタイル)・フォルステライト等の危険物質が無いことを確認します。
位相差顕微鏡による分散染色法
浸液に浸し、屈折率が光の波長により分散する性質により位相差顕微鏡(400倍)にて光学的に着色して識別します。
JIS-A-1481ではアスベストは識別できますが他の繊維状物質フォルステライトは識別しません。
電子顕微鏡観察
走査型電子顕微鏡SEM・透過型電子顕微鏡TEMの観察にて、繊維状物質の無いことを確認します。
安全性評価
AMCでは無害化生成物の生体に対する安全性評価を行っています。
※産業医科大学作業生態科学研究所呼吸病態学研究室
フォルステライトについて
アスベストを加熱すると、脱水されフォルステライトに変化します。
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-2H2O |
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Mg3Si2O5(OH)4
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MG2SiO4 + SiO2
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(クリソタイル)
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(フォルステライト)
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加熱脱水 |
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- フォルステライトへの変化は、加熱時間によるが短時間でも500℃を超えると発生し、シール材においては700℃5分の加熱で完全に変化します。
- フォルステライトの人体に対する安全性評価は、海外における多くの検証にて、肺ガン、胸膜疾患、呼吸器障害等においてそのリスクは高いとされています。
フォルステライトは繊維状物質であり、無害化されたとは言えません。
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